(以前ミクシィのコミュニティに投稿したものに若干手を入れましたが、イタリア在住経験のない方には、幾らか分かりにくい話しかとも思います)
今朝、違法労働についてまとまったメールを書き、これはだれかの参考になるかも知れないと思いました。受取人の女性の同意の元、以下に公表します。
わたしの違法労働経験もかなり昔の話となりましたので、内容に現在の実情・法制度と異なる部分などがあるばあいはご意見をお願いします。
(相談者、女性Xさんの状況)
現在イタリア在住、学生ビザでネーロ(違法労働)中の女性。まもなく一時帰国予定だが、次のイタリアでの就職先は一応決まっている。そこでもふたたび学生ビザで働く予定。次の土地で安い学校があるか、その学校はビザ取得目的であることを前提に安くしているのだろうか、、、という相談メールを受けて。
(以下、メールの内容。若干修正ずみ)
語学学校に入学し学生ヴィザおよび学生ペルメッソ(滞在許可証)を取り働く、というのはもはや常套手段(注1)ですが、学校側がビザ取得目的であることを承知の場合(注2)と「通え」という場合とがあると思います。事実、僕の友人たちは働きつつ通っていました。(注3)
今の法律は分かりませんが、クエストゥーラによっては、通学(出席)証明が学生ペルメッソ更新の際に必要になる場合もある、、、かもしれません。
僕も通いながらネーロで働いたことがありますが、いやなものですね。ネーロでしたが、同時にstudioからlavoro subordinatoへの書き換え(注4)も進めていました。ただし、書き換えが終了した時点での契約を希望していた雇い主との仲が険悪になり、労働ペルメッソをもらったものの、辞職、次の仕事も見つからずに期限切れで更新できず(注5)帰国した苦い思い出があります。
> ネーロで行っちゃおうか。とも思うのですが
> 雇い主に失礼かな。。と。。
> (motivo studi のペルメッソとってもネーロですけど。)
学生ペルメッソで働く=ネーロ、ではないことはご存知ですか?
学生は一応、週に20時間まで働くことができます。きちんとした契約をして(実際何時間働くかは別として)保障も受けつつ、働くことが可能です。というより、そうすべきもの、というのが労働者の権利を考えた場合は、「常識的手段」となります。雇い主が高い税金を払って、やとってくれるかどうかという問題は別として。
週に20時間というのは、一年間働く場合の話で、半年であれば、週に40時間働くことも可能なようです。少なくとも以前の法律ではそうなっていました。
またネーロで働くことになるのかどうかは、Xさんの次の雇い主がどういう条件でやといたいと思っているのかにもよりますね。採用条件にペルメッソの話はありませんでしたか?学生ペルメッソでもきちんと雇ってくれるかも知れませんし、または「ネーロでいいよ」と言ってくるかも知れません。後者の場合、一瞬、親切に聞こえるかも知れませんが、単に「いや、もともと税金払う気なんかなかったよ。病気になっても、指何本か包丁で落としても、保険もなければ、金も出ねえよ」ということかもしれません。意地悪のつもりはありませんが、違法労働とはそういうことです。みんなやっていますが、みんなそういう条件です(一部の「一応」良心的なネーロ雇い主は除く。期待はできませんが、社会保障のない分の出費を負担してくれるケースもあります。まあ、大きな事故があれば「知らねえよ」ということになるのは当然ですが)。
イタリアで長く暮らしていきたい場合は、
1)
学生として働く(ネーロまたは契約して)→学費を払いつつ、ペルメッソを切り替える(またはサナトリアを待つ)→subordinatoまたはautonomoの労働ペルメッソで正式な雇用を受ける・または自営業を開始する
というパターンと
2)
学生か旅行者として滞在する→イタリア人と結婚する→家族ペルメッソを手に入れる
という2パターンが多いようです。あくまで僕の知人十数名の経験談とその他のsentito direの印象で、正式な統計ではありませんが。1のパターンは、学費を払い続けるのがうっとうしいのと、ネーロの場合は不安がつきまとうのがいやですね(ローマで働いていた知人で、Finanzaの手入れにあい、強制退去、五年間EUに入れなくなった人がいます。不運な例外と言えるかも知れませんが)。 2のパターンは一見、安直な方法に聞こえるかも知れませんが、特に女性の場合、長く同じ土地にいると自然とそう言う結果になるようです。単にペルメッソ目当てで結婚する人は日本人にはなかなかいないでしょう。
今日はここまでにします。ネーロで働いていた日々は、小心な僕にはかなりのストレスのある時期だったので、ながながと書いてしまいました。何かの参考になれば、幸いです。イタリア在住者の掲示板などで質問するのも良いかも知れません。村に引っ込んだ僕の情報はいくらかもう錆びついていますから(笑)
buona fortuna!
亮介
(以上メール終わり)
次のリンクにイタリア移民情報関連のリンクをすこしまとめました。
http://tinyurl.com/2r4qsp
思えばペルメッソ関連の情報を探してstranieriinitalia.itなどの記事を読んでいた時期は僕のイタリア暗黒時代でしたが、読解力向上の役に立っていたのかも知れません。
リンク集の一番下の方に、ふたつ、代表的なイタリア在住日本人掲示板があります。
なかでも
http://abbicci.ciao.jp/
のクスピオさんの「イタリア就職のススメ」というコラムはよくまとっています。
注
(1)それが正しいことであるかどうかという判断は保留します。それ以外の手早い手段がないというのが現状だと思いますので。ただし、「そんな面倒くさいことまでして、なぜイタリアがいいんか」というイタリア在住の先輩方、その気持ちは僕もよく分かります(笑)それは別のスレで言うことにしましょう。
(2)ビザ目的で学生を受け入れていたトスカーナの学校が検挙されたニュースが以前にありました。中国人対象の学校でしたが。
(3)就労目的の学生ビザ(在住者の場合はペルメッソ)獲得に最適な学校というのは、都市部であればどの土地でも外国人コミュニティのなかでは、おそらく数校名が通っているものと思われます。イタリア在住日本人の掲示板などで「学びながら働きたい」として最適な学校情報を獲得するのもひとつの手でしょう。長期の学生ビザ申請のためには、履修する授業時間などの条件もあったような記憶がありますが、どうでしょうか。
(4)申請から入手まで半年〜1年はかかります。申請時期にもよりますが、毎年出る法律の外国人労働者数の枠に入れないと書き換えが不可能な場合もあります。僕の場合は、記憶があいまいですが、9月に切り替えの申請をし、翌年1月の法律の枠に入り、3月に「切り替えができた」との通知を受け、さらに3ヶ月ほど待って、ようやく手にした時には、あと数ヶ月で期限切れという状況でした。切り替え直後のペルメッソは、仕事がなければ更新不可能であったように思います。次回更新時以降は、就職活動中という理由で無職でも、二年分くらいは更新してくれたような、、、
(5)期限が切れてからispettorato del lavoroに行って相談した時、「もっと早く来てくれれば、何か適当な仕事を見つけてやったのに!」と嘆かれました。道路掃除とか、何か更新のための就労先を見つけてくれたということでしょうか、、、冷たい役所の多いイタリアでも案外親切だったのが、ispettorato del lavoroでした。労働者団体のCGILなども親身になって相談に応じてくれます。
おまけ
学生ペルメッソから、労働ペルメッソへの切り換えを考えているあなたへ
百人に聞くと最低、30通りくらいは違った情報の返ってくることの多いイタリアです。知らないということを言いたがらない、ラテン気質ですね。
おまけに法律は毎年変ります。迷った時は、経験者(わたしを含む)の話を鵜呑みにせずに、政府のIspettorato del lavoroまたはDirezione provinciale del lavoro で聞いてみましょう!
最近では普通の語学学校だと2年間程度で、就学ペルメッソの更新を拒否されるようです。潜り学生労働者対策なのでしょう。要注意です。
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