2013-11-20

五番街のマリーへ 歌ってみました



横着してMacbookのPhoto Boothから録音。雑音ありますが。73年の歌だそうで。俺、生まれてないや。un­a canzone Folk anni 70' giapponese, "Per la Mary della 5° street" original song by Pedro & Capricious in 1973.

2013-10-16

『兵士たちの肉体』パオロ・ジョルダーノ(早川書房) 訳者あとがき公開


ご無沙汰しております。
去る10月15日、わたしの訳したパオロ・ジョルダーノ作『兵士たちの肉体』が早川書房より出版されました。以下に訳者あとがきを公開いたします。なお、以下の文章は編集サイドの校正前の文章ですので、実際に発売された本のあとがきとは一部表現などが異なるかも知れません。その点はあらかじめご了承下さい。

 『兵士たちの肉体』、どうぞよろしくお願いいたします。

訳者拝

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訳者あとがき 

 本書は、若手イタリア人作家を代表するひとり、パオロ・ジョルダーノの il corpo umano (二〇一二年)の邦訳である。
 二〇〇八年発表の処女作『素数たちの孤独』(ハヤカワepi)でいきなりイタリア文壇最高峰の賞のひとつストレーガ賞を受賞し、一躍ときのひととなったジョルダーノが五年ぶりに発表した待望の第二作がこの『兵士たちの肉体』である
 物語の主な舞台は、二〇〇一年に勃発した紛争でタリバーン掃討作戦の続くアフガニスタン。主な登場人物は、同国南部の前哨基地フォブ・アイスに国際治安支援部隊として派遣されたイタリア陸軍の若者たちだ。

 このフォブ・アイスという基地は実在する。そして、二〇一三年現在も、同基地におけるイタリア陸軍の活動は継続している。さらに、この小説はあくまでフィクションだが、数年前アフガニスタンでイタリア兵が犠牲となった実際の事件が物語の下敷きとなっている。
 そう聞けば、あなたはどんな筋書きを想像されるだろうか。タリバーンとイタリア兵の激戦、戦乱に苦しむ無辜の民を描き、戦争の無益さ、反戦平和を訴えるドキュメンタリー的な作品。そんなところかもしれない。
 実は訳者であるわたし自身がそんな予想とともに読み始めたのだが、気持ちよく裏切られた。できれば、その裏切りを読者にも味わっていただきたい。
 最初に本作のキーワードを述べれば、ここにはまず若いイタリア兵たちの「青春」がある。そして彼らの「葛藤」がある。戦争ものであるから(と言い切ってしまうことにためらいも感じるが)当然「戦い」もある。ただし「戦い」といっても銃火を交える戦闘よりも、個々人の内面における「自分との戦い」が主に描かれている。アフガニスタンという「戦地」、フォブ・アイスという「砦」はメタファーに過ぎないようだ。登場人物がイタリア人であることすら重要ではない。『兵士たちの肉体』はむしろ、先進国に生きる今の時代のわたしたちに共通した心の問題、家族の問題、人生の諸問題をとらえた、より大きな作品のようだ。作者が扉に『西部戦線異常なし』の一節を引用したのは、かの名作とそのあたりが共通しているためかもしれない。
 つまりこれは、現実の戦場を舞台としながら、若い兵士たちの心の中という、本人以外には見えない「戦場」で日々展開される葛藤をひとつの「戦争」として描いた物語である。少しややこしいかもしれないが、そうした戦地を舞台とした「青春小説」を作者は書きたかったのではないかと思う。
 ただし、そんな個人の「心の中の戦争」の描写を重ねながら、対テロ戦争の現場という、現代の戦場の独特な姿を臨場感豊かに語っているのも事実だ。そういう意味ではルポルタージュ的要素も間違いなくあることは特筆したい。

 そもそもジョルダーノが本作執筆のきっかけを得たのは、現地ルポを書くためのアフガニスタン訪問だった。パオロ・ジョルダーノは前作『素数たちの孤独』が世界的なベストセラーとなった後、第二作を待望する声のあまりの大きさに三年ばかり小説が一切書けなくなってしまった。そうした困難な時期に、伊『ヴァニティ・フェア』誌に現地ルポを書く目的で訪問したフォブ・アイスで若いイタリア兵たちと出会い、執筆のインスピレーションを得たという話だ。
 基地周辺の風景の思いがけぬ美しさ、そこがアフガニスタンで最も危険な場所のひとつであること、兵士たちの多くが三十代のジョルダーノとほぼ同年輩か年下ですらあること、その数カ月前に近隣地区での戦闘でイタリア兵が複数名死亡していること(二〇一三年九月現在、アフガニスタン紛争で死亡したイタリア兵は既に五十名を超えている)、何カ月ものあいだ緊張状態を冷静に保ち続ける兵士たち、人間の弱さが極端に表れ、肉体が理性を凌駕する戦地という特殊環境……作者はさまざまな強い印象を受けたらしい。

 ちなみに冒頭の献辞にある「農家(ルビ:カッシーナ)」というのは、ジョルダーノが生まれ、今も生活するトリノ市の郊外にある一軒の農家を指している。作者が二十代の頃、友人たちとともに日々を過ごした思い出深い場所だという。実はこの「農家(ルビ:カッシーナ)」時代の友人たちが本作に登場する若き兵士のモデルとなっている。
 そうして生まれた登場人物たちはとても魅力的だ。特にそれぞれの抱える、自分ではどうにもならない弱さが見事に描かれている点が、前作に共通するジョルダーノの才能であり、彼の文学の特徴なのだろう。
 たとえばエジット中尉。フォブ・アイスに数ヶ月前から駐屯を続けるこの軍医は、ようやく任期満了が迫ったというのに帰国をためらっている。イタリアで待つ姉との対決をなぜか恐れているらしい。さらに彼は父の死以後、自分でも正体のつかめぬ精神の不安を抱え、基地の仲間には内緒で抗うつ剤を飲んでいる。
 そしてレネー准尉。フォブ・アイスに新たに派兵されてきたばかりのチャーリー中隊第三小隊二七名を率いる彼は、一見したところ模範的で生真面目な隊長ではあるが、イタリアでは小遣い稼ぎに男娼をするという裏の顔も持っている。派兵直前に客の女のひとりから妊娠を告げられ、果たして中絶させたものか深く悩みながら、アフガニスタンでの日々を過ごす。
 イエトリ上級伍長はレネーの部下で、小隊最年少の二十歳。イエトリの悩みはまだ女性経験がないことだ。アフガニスタンには米軍の開放的な女性兵士が山といるといううわさ話に夢を膨らませつつ、フォブ・アイスにやってきた。
 そのイエトリを「童貞君」と呼んでからかうチェデルナ先任上級伍長。彼は中隊一の優秀な兵士を自負する若者で、夢は特殊部隊入隊、敵を殺してみたくてうずうずしている。だがそんなマッチョなチェデルナもイタリアに残してきた恋人と問題を抱えている……といった具合である。
 そのほかにもアフガニスタンに来てまでインターネットのチャットを介したバーチャルセックスを楽しむ兵士や、ひたすらいじめ抜かれる犬好きの兵士、軍用車の運転手を務める紅一点の女性兵士など、第三小隊の個性的な若者たちがアフガニスタン南部の砂漠のど真ん中にある前哨基地という非日常的な世界で生活を送る姿と、日常の続くイタリアに残してきた家族や恋人とのすれ違いが豊かな筆で描かれている。

 本作の主なテーマは、作中でエジット中尉が自問する「家族とはなんだ?」「戦争はなぜ起きる?」「ひとはどうやって兵士になる?」という三つの疑問に端的に示されているようだ。決して明るいテーマをあつかったとはいえないそんな作品を訳していくなかで、連隊長であるバッレージオ大佐のユーモラスな存在感に訳者はかなり救われた。悩み多き登場人物たちのなかで彼だけは、道化めいた表情をしばしば見せてくれたからだ。若者たちとは異なり、彼がもはや「大人」であることの証拠なのかもしれない。一見脇役のようにも見えるバッレージオに作者は何かとても大切なことを言わせようとしているのではないだろうか。。

 なお原作中で映画『フルメタル・ジャケット』のイタリア語版ダイアログが引用されている箇所は、原田眞人氏による日本語版字幕を参考に重訳した。氏にはこの場を借りて感謝したい。

 最後に私事になるが、数少ないわたしの訳書のなかでこの『兵士たちの肉体』は三作目の〝アフガニスタンもの〟となる。だから実際には行ったことがないのに、かの国をわたしはもう何度も旅してきたような気もするし、強い縁を感じている。一刻も早くアフガニスタンに平和が訪れることを願ってやまない。

二〇一三年九月
モントットーネ村にて

2013-05-31

primo piano - めずらしく登頂記念写真

5月18日に二ヶ月ぶりに行った山で、僕としては非常に珍しいことに記念写真など撮ってもらい(そもそも山頂で人に出会うことが滅多にない山域でして)、それがまた自分で言うのもなんですが、満面の笑みだったので、掲載します。

そういや、純粋に頂を目指した山行も久しぶりでした。
マルケ州最高峰ヴェットーレ山頂(2476m)にて。

飯田亮介三十八歳。おかげさまで、元気にやっております。


2013-04-04

a new day - 朝

a new day - 朝 a new day - 朝, a photo by Ryo@Montottone on Flickr. お山に行かずにひと月が経ってしまった。時間がないのもあるけれど、冬ほど意欲がわかないのは何故か。この冬は雪をたっぷり楽しんだからかな。写真は先月の最後のテント山行から。

2013-03-05

una strada - 雪原をゆく道

昨朝。例のラピュタの見えるアルジェンテッラ山稜線西中腹から。

2013-02-21

2013-02-02

OPINEL改

オピネルの開きにくいナイフはこうして(黒い部分)ちょっと削るだけで、使い勝手が断然よくなる。
Piccola miglioria del coltello opinel: basta smussare la parete colorata nera.