2020-03-26

『ナポリの物語』キンドル電書版、4/13まで大セール中です!

Twitterでもつぶやきましたが、ハヤカワのセールで現在Amazonの電子書籍キンドル版の『ナポリの物語』がたいへんお安くなっています。4巻もあるため書籍版ですと1万円を少し超えてしまいますが、6000円とちょっとです。
セール期間は4/13日までです。文庫判が出る気配もしばらくなさそうなので、とりあえず読んでみたい、そう思われていた読者のみなさん、電子書籍で構わないようでしたら、この機会にいかがでしょうか。

よろしくお願いいたします。
訳者拝


最近はこちらでも書いてます。どう使い分けていこうかな。

2019-12-15

ナポリの物語 第四巻『失われた女の子』12/19日発売です!

お待たせいたしました。『ナポリの物語』全四巻、ようやく完結です。
いちおう当初の計画通りですが、三年近く、お待たせしてしまいました。

僕は海外にいるため、通常であれば発売日よりも先に出版社より訳者の手元に届く「完本」(業界用語でしょうか「完成本」の略と思われます)をまだ手にしていません(12月15日現在)。ですが、先日ネットで流れ出したカバー写真を見てにやにやしております。ついでに某所より拝借した1巻〜4巻のカバー写真をひとつにつなげて、屏風状にしてみました。

クリックで大きくなります
いいですねえ。イラストはすべて高橋将貴(たかはし・まさき)さん、装丁は1〜2巻が仁木順平(にき・じゅんぺい)さん、3〜4巻は早川書房デザイン室です。ありがとうございました。

なんだか話題だけど、全巻で揃ってから読み始めよう、そう思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。時は今です。長い物語です、年末年始に是非。

19日(火)の発売開始後、あとがきもこちらで公開します。

これまでの状況を見るに、たぶん今度も初版はそんなに部数が出ないと思いますので、4巻をすぐに読まれたい方は今からご予約がお勧めです。よろしくお願いいたします!

【読書メーター】第1巻『リラとわたし』に寄せられた皆様のご感想
【早川書房 note】「いつかの自分をみているよう」世界中の女性の共感をよぶナポリ発人気作『リラとわたし ナポリの物語1』とは?訳者あとがきを公開。
【早川書房 note】日経新聞、朝日新聞にて紹介! ひりひりする嫉妬まじりの憧れと友情。世界中の女性が夢中になっている『リラとわたし ナポリの物語1』公開vol.1

インスタ用にこちらも作ってみましたが、これでも縦長過ぎ。。。


2018-10-28

紅豆 - 王菲 (フェイウォン)



中国語翻訳に挑戦。なんだか主語がよくわからないので適当に付け加え。こういう詩とか文語(書面語)は特に勉強不足。
イタリア語よりもひとつひとつの単語を見た時に絵が浮かぶ気がするのは、やっぱり漢字で育った日本人だからかな。あと曖昧でわかりにくい箇所もあるのだけど、そのファジーな感覚がアジアっぽくて非常好。イエスかノーかのイタリア語には求めにくい要素ではないか。
二、三、自信のない箇所もありますが、まあ勉強中ということで。

紅豆
あずき

一番
還沒好好的感受 雪花綻放的氣候 
雪が花を咲かせる季節を まだふたりで味わったことがないけれど

我們一起顫抖 會更明白 甚麼是溫柔
一緒に震えればわかるかもしれないね やさしさとは何か

還沒跟你牽著手 走過荒蕪的沙丘 
まだ君の手を引いて 荒れた砂漠を進んだこともないけれど

可能從此以後 學會珍惜 天長和地久
そうしてみれば 永遠を噛みしめることができるようになるかもしれないね

有時候 有時候 我會相信一切有盡頭 
ときどき僕は思ってしまう すべてには終わりが来ると

相聚離開都有時候 沒有甚麼會永垂不朽
出会いがあれば別れもあり 永遠に続くものなど何もないと

可是我有時候 寧願選擇留戀不放手 
それでも僕はときどき願ってしまう いつまでも君の手を離したくないと

等到風景都看透 也許你會陪我看細水長流
景色がはっきりと見えるまで待てば もしかしたら君とずっとこの先も一緒にいられるのではないかと

二番
還沒為你把紅豆 熬成纏綿的傷口 
まだ君のために 癒えぬ傷になるまで小豆(相思相愛のたとえ)を煮たことがないけれど

然後一起分享 會更明白 相思的哀愁
あとでそれをふたりで分かちあえば もしかしたら恋の哀しみがわかるようになるのかもしれないね

還沒好好的感受 醒著親吻的溫柔 
目覚めの口づけのやさしさも まだよく知らないけれど

可能在我左右 你才追求孤獨的自由
もしかすると僕の横にいてはじめて君は 孤独の自由を追い求めることができるのかもしれない

有時候 有時候 我會相信一切有盡頭 
ときどき僕は思ってしまう すべてには終わりが来ると

相聚離開都有時候 沒有甚麼會永垂不朽
出会いがあれば別れもあり 永遠に続くものなど何もないと

可是我有時候 寧願選擇留戀不放手 
それでも僕はときどき願ってしまう いつまでも君の手を離したくないと

等到風景都看透 也許你會陪我看細水長流
景色がはっきりと見えるまで待てば もしかしたら君とずっとこの先も一緒にいられるのではないかと

2018-06-05

新しい名字 ナポリの物語2



第2巻がようやく出ました。第1巻の読者の皆さん、お待たせいたしました。
あとがきが早川書房のNoteで公開されましたので、ぜひご覧ください。2巻のあとがきというのは初めてで何を書いたものかとさんざん迷ったのですが、物語の舞台になっているナポリという町について簡単なご案内+自分なりの印象をまとめてみました。

「ナポリを見て死ね」のナポリとはどんな町? 『新しい名字 ナポリの物語2』の訳者が描く港町の肖像|Hayakawa Books & Magazines(β) @Hayakawashobo|note(ノート) 


電子書籍の各ショップでは序盤数章の無料サンプルもご利用いただけます。

honto.jp
Amazon Kindle shop
iBooks Store

読者のみなさんのご感想もレビューサイトで徐々に増えつつあります。ありがとうございます。
読書メーター


ナポリの物語第二巻、どうぞよろしくお願いいたします。


イタリア語翻訳のご相談はこちらから 
http://www.traduzionegiapponese.com/welcome.html

2018-02-14

Egword復活間近というニュースが嬉しくて

Egword Universal 2(まだ2なのか?)復活間近というニュースが嬉しくて、詩なんだか歌詞なんだかエッセイなんだか、得体の知れぬものをベータ版で書いてみましたよ。原稿は縦書きなんだけど。某国の辺境を旅していた時の記憶をアレンジしたものです。読む人が読めば、町の名もカフェも(ひょっとすると登場人物も)特定できちゃうんでしょうが、わからないほうがよさげ。さりとてあんまり具体的なエッセンスがないと、話というのはまるで面白くないな、ということを今夜は学びました。
こういうのを書きためていくと、いつか歌が書けたりするのだろうか。年をとるほど、昔のことをやたらと思い出す、というのは本当なのだろうか。今からなんだか楽しみです。頭も記憶も悪くて、懐かしもうにも、普段、こうした話をなかなか思い出せないので(そう思うとやたらと記念写真を撮る人をけっして馬鹿にできませんね)。



辺境にて

大陸にひとり、旅に出た時のこと
やけに埃っぽい辺境の町で
朝飯から昼飯まで来る日も来る日も
通いつめていたカフェがあった
飯がうまい訳でも、眺めが良い訳でもないのだけど
まあ、つまるところ、愛想のよい娘がひとりいてね
名はたしか、ローズといったか、ロージーだったか
どうせ、本名の訳もないのだけど
どこかずっと山奥のほうから出てきた、田舎娘のようだった
やせっぽちで、真っ黒に日焼けしていて
化粧っ気はまるでなくて、鼻の下にはうっすらと髭まで生えていて
けっして美人じゃないのだけれど
とにかく愛想がよかったのです

ゆくあてのない旅だった 見たい場所もなかった
とにかく変わりたくて 変われなくて
どう変わりたいのかもわからなくて
うろうろと焦りながら、西へ東へさまよい続け
やっとたどり着いた場所だった

つまり僕は疲れていたのだろう
だからあの子の笑顔が嬉しかった
それだけでよかった
それ以上は望んではいなかった たぶん

そうして幾日が過ぎたか
僕らは時々、散歩をするようになっていた
店から少し歩けば、泥色の川ですっぱだかの子どもたちが遊んでいたり
見晴らしのよい丘の上、静かな寺があったり
ぶたやニワトリがあちこちでゴミを漁っている市場があったり
訛りの強いあの子の言葉はよくわからなかったけれど
ふたりで歩くのは楽しかった

ある日の夕暮れ、いつもの散歩の途中で、町はずれのバス停に連れていかれた
あの子がどうしたかったのかはわからない
――いいから、とにかく来て
――しかたないな
そんな感じだった気がする
ほかに人影はなく、しばらく待ったが、バスは来なかった
きみは寂しげにほほえみ、でもほっとしたようにも見えた
僕はどうだったろう? なぜか記憶にない
そこで彼女との思い出は終わっている
あとはなにも思いだせない

きみは僕をどこに連れていきたかったのだろう?
僕はどこに行ってしまいたかったのだろう?

きみは僕をどこに連れていきたかったのだろう?
僕はどこに行ってしまいたかったのだろう?



2017-08-07

リラとわたし ナポリの物語1 

七月に出ました拙訳、おかげさまで好評のようです。
エレナ・フェッランテ作 「リラとわたし」(早川書房)
「ナポリの物語」という4巻もの大長編小説の1巻目にあたります:
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013589/
https://honto.jp/netstore/pd-book_28538044.html
http://amzn.asia/b1w9UBf

くわしくはこちらで公開中のあとがきをご覧下さい:
https://note.mu/hayakawashobo01/n/n49abdadebf36

こちらでは冒頭四十ページ無料公開中です。
https://note.mu/hayakawashobo01/n/n29543eea8785

なお、iBooksストアKindleストアHontoなどで、電子書籍版の縦書きの無料サンプルもご利用になれます。

Twitterのまとめサイト機能(モーメント)を利用して、関連情報、レビューなどのまとめを作成中です。閲覧にユーザー登録の必要はありません:
https://twitter.com/i/moments/894471850780217345

読者のみなさんのご感想・レビュー:
読書メーター
ご購入はもちろんうれしいのですが、お近くの図書館などでリクエストしていただけますと、図書館好きの自分としましては、なおうれしく思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

2017-02-14

久しぶりに

ご無沙汰しております。気づけば今年も2月に突入、旧正月すら明けてしまいましたね、遅ればせながらおめでとうございます。まあ、西暦の正月なんて冬至に比べれば個人的にはあってもないようなお祭りですが。

なんとか、冬山に復帰できました。
仕事が忙しかったのか、厄年を言い訳に怠け癖がついてしまったのか、はたまた中部イタリアを襲った大地震のせいか、例年の冬のベースキャンプ、フォーチェ村へと通じる道がいまだに閉鎖中(地震による落石が不安という、閉鎖期間の延期が未来永劫可能そうなあいまいな理由ですが)のためかわかりませんが、この冬もなかなか山に足が伸びず、高価な要りもせぬ新しい道具ばかり集まるという、山道具を集めるために稼いでいるのか、稼いでも山に行けないから散財するのかわからぬ、現代人らしい悪循環が続いておりました。おおいに貯めてフェラーリでも買おうなんて、壮大な夢は当然描けず。

ともかくも。フォーチェに行けぬなら仕方ないと代替ルートを求め、こんな所を二度ばかり歩いて、こんな写真を撮ってきました。



867mのヴァッレグラッシャ村からバンディテッロ山(1863m)にいたり、稜線闊歩ののち、以前働いていた小屋のあるアルティーノ村を経由して帰投。黄色は雪崩リスクのありそうな斜面。幸い、雪の状態は安定しているようでした。



朝。730出発。きれいにモルゲンロートしてましたが車で登山口に向かう途中で終わってしまい、撮り逃しました。一日中無風。気温2度から9度くらい。イタリアの天気予報も三日先くらいまではかなり精度があがりました。



光がぼんやりしていてめりはりのある絵はなかなか撮れませんでした。白黒・赤外調でごまかしてみたり。それでも青空でないとぱっとしませんね。



今回は全ルート、新兵器のスノーシューMSR ライトニング・アッセント22 W's+念のためピッケルで。
高度感のあるつるっぱげの急斜面の下降ではやはりアイゼンが欲しくなりましたが、凍りついてなければ、かなりのトラクションがきいておすすめです。なにより軽さは武器。ただし。。。

deck fraying problem of Lightning Ascent 22 W's, caused by the metal buckle of strap
帰投後気がついたのですが、残念ながら、構造的な問題か、自分の使い方の悪さか、あるいはシューズの形状との相性の悪さか(これが多分いちばんの原因)、金属製のバックルがデッキにぶつかって、初回からいきなりデッキが切れちゃいました。

小型・軽量であえて女性用モデルを選んだのが裏目に出た(たぶん靴とデッキとのクリアランスが男性モデルより狭い。たぶん。)可能性もありますが、EU42.5 USA 9という靴のサイズ的にはメーカーの推奨サイズの範囲内なので、試し履きのできなかったオンラインショッピングの限界と設計ミスの半々ではないかと。とりあえずMSR(というかカスケードデザインが親会社のようで)にどうしたらいい?と質問中。で、回答を待つあいだ、とりあえず軽く縫い、さらにシール式の自転車パンク修理パッチ(Park toolのやつです)で補強しました。パッチが雪との接触で剥がれなければいちおう解決かな。

2017/02/15追記。カスケードデザインから返信があり、「バックルがぶつかる問題は残念ながら生じている。同じ問題に直面したユーザーの多くはぶつかる部分のデッキを少しカットしている」というメーカーとしては結構大胆なアドバイスが来ました。ちと驚いたのでそれは公式見解かと問い直すと、「あれだったらこちらでカットするからアイルランドのメンテナンス部門に送ってくれ」とのこと。送料が少々痛いですが、まあ、メーカー純正カスタマイズ&メンテと思って送ることにします。結果はまたご報告。


そういえばビデオも軽く撮りました。まあ、こんな感じの山です、という程度の動画です。





2017/03/03追記。メーカー送りから20日ほどで戻ってきました。期待していたほどの特別な処置はなく、結構大胆にざくざくとハサミで切っただけという感じ。そういうことのできる素材だという意味かも知れませんが、待ったほどの甲斐はなかったかも。同じ問題に直面した方は、新品の曲線ばさみでも購入して自分で切るのが良さそうです。

My MSR lightning ascent W's 22" after a manufacture's repair to resolve the frequent deck fraying problem caused by the metal buckle of strap: they cut slightly the inner border of the deck.
This time I used their support service, but if you have the same problem, you could try the same work just by getting a couple of good curved scissors.