2008-08-28

伊藤和也君の死を悼む

ペシャワール会会員としてアフガニスタンで活動していた伊藤和也君(享年31歳)が誘拐され、銃撃されて死亡した。
詳細(最新ニュースリスト)は今後明らかになってゆくだろうが、非常に胸が痛む。

ペシャワール会(ホームページ)は、主宰者の中村哲医師の著書などを通じてその活動内容を知り、僕がかねがね共感し、尊敬してきたNGOだ。イタリアのエマージェンシー(英語ページ)と並び、本当に意義ある活動を地元の人々の視点から行ってきた素晴らしい団体だ。

伊藤君は31才でその生涯を閉じた。僕と同年配だ。海外に飛び出た理由も目的も、何もかも彼と僕とは異なっているのだろう。しかし、同年配の彼の死に僕は何か、「もうひとつの道を歩んで行った自分が不意の事故で死んでしまった」ような喪失感を覚えている。

アフガニスタン、ボランティア、アジア放浪、平和への模索、、、そんなキーワードをもう長いこと抱えて歩いてきた僕は、何か強いきっかけさえあれば、彼と似た道を歩むこともあったはず、否、これからもあるかもしれない。だから、伊藤君が他人には思えない。

伊藤君は現地の言葉も堪能で、地元住民にも愛されていたという。素晴らしいことだ。彼が日の丸を意識の中に抱えていたかどうかは知らぬし、そうする必要があったのかも僕には分からない。ただ、彼と接したアフガン人は日本に対するプラス評価を幾らかは持ってくれたことだろう。伊藤君のおかげで、アフガンの大地を爆撃するアメリカ側の「国際社会」の一員である日本への憎悪も幾らかは軽減されたのかもしれない。信用に値する外交はいつも名も無き個人による草の根の交流だ。よりによって、そんな人物が殺されてしまった。

伊藤和也君の冥福を祈るとともに、世界中の無数の伊藤君たちの活躍に感謝し、その無事を祈りたい。

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