2007-04-13

イタリアで初の大規模な中国人移民と警察の衝突


昨日、ミラノのPaolo Salvi地区で300名ほどの中国人と警察の衝突があった。中国人側負傷者6名、警察側負傷者14名とのこと。
同地区には7000-10.000名とも言われる中国人移民が集中しているため、ミラノのチャイナタウンと呼ばれている。

市警の婦人警官が中国人女性から駐車禁止の罰金を取ろうとしたところ、女性が警官に殴りかかった(警察側の言い分)、または、警官が女性とその3才の子供に殴りかかった(中国人側の言い分)。そこに300名からの地域在住中国人が集まってきて、抗議、応援に駆けつけた警察と激しい衝突をしたということらしい。

ここ数ヶ月、同地区では警察による取り締まりが激しくなっていたという。中国人住民はそれを中国人の商業活動を妨害することだけを目的とした差別だとし、イタリア人住民はようやく当たり前の法治がおこなわれるようになったためだと主張している。

事件の真相は混沌としていて、まだ良く分からない。
僕が驚いたのは、これまでは新聞沙汰になるような目立った事件を決して起こそうとはしなかった中国人移民が立ち上がったことだった。チャイナタウンは静かに増え続け(中国人住民数 公称11万4000名、2006年istat)、その閉ざされた世界の拡大は地元イタリア人住民の不安を煽っているが、表ざたになる事件は少なく、それゆえ、数の割に中国人移民が話題になるニュースは少なかった。

「中国人は死なない、そのわけを知ってるかい?死んだ人間のパスポートをもって、新しい移民が来るからさ。死体は中国からの輸入品のコンテナでひそかに送り返されるんだよ」という本当だか洒落だか分からない話を、一体これまで何度、イタリア人に聞かされたことだろう。それくらいミステリアスな不気味な、見えない社会として中国人移民社会は見なされてきた。

もしかしたら、これは第二世代の若い中国人が増えてきたこととも関係があるのかも知れない。どんなに苦労があろうとひたすら静かに稼いで来た移民第一世代とは異なり、イタリア人と同じような格好をし、有る程度イタリア語も話すことができる若い世代。働くために働くよりも、いくらか生活を楽しみたいと思っている新世代。この世代が育つことで、イタリア人社会と中国人社会との間の相互理解・交流も進んでくるのではないか、そんなあいまいな期待を僕は前から持っていたが、今回は彼らの不満が爆発した結果の事件ではなかろうか。

またしばらくは、僕もイタリア人の冷たい視線を浴びることになるかも知れない。
ただそこで、僕は中国人じゃない、日本人だ、と言ってみることは、
上海出身の中国人移民が、僕はミラノで問題をおこした浙江省(かどうかは不明)の中国人じゃない、と言うのと、大して変らぬ無効な抗議ではないかと思う。
うまく説明はできないけれど、人間を国とか地域とかのレッテルを介して見ることしかできないのは、仕方ないのかも知れないけれど、悲しいことが多い。

写真ギャラリー「レプッブリカ」紙

元記事「ピースリポーター」


12 comments:

  1. 中国語もできるところで是非,中国人コミュニティの見解を続報してください.

    とても気になります.
    ある種,日本の将来像に重なると思うので.

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  2. 今朝、RAIインターナショナルを見た友人から話を聞いてびっくりしました。チャイナタウンの中国人移民の数にも驚きました。レーガが、イタリアにはイタリアの法律ってもんがある、嫌なら国に帰れ、というようなことを言ったらしいですが、そんなひとことでイタリア国民の移民に対する感情を煽るのもどうかと思いますね。これと同時に北アフリカや近隣国からもボートが続々と到着しているイタリア。影で操っている組織の存在も気になるし、これから先、深刻な問題になりそうで心配です。この間、外務大臣補佐がブエノスに来た時に移民問題に触れていました。海外にいるイタリア人移民の歴史を振り返ることは、自国にやってくる移民に対する理解を深める、積極的に海外移民と交流していきたいと。解っているなら事態が深刻になる前に手を打って欲しいものです。でも、人種問題というのは、移民問題とは、心理的には別のところで反応しているのかも知れませんね。ああ、難しいなあ。

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  3. おふたりさん、コメントありがとう。
    何だか気になって、中国人移民のフォーラムにも潜り込んでみましたが、どうも2チャンネルみたいな、感情的な「愛国野郎」ばかりでまともな話ができない感じで困りました、、、

    どこか別に、イタリア語でイタリア人と中国人が対話して行けるような、相互理解の可能性があるフォーラムがないものか、
    ようやく見つけたのがこれ移民第二世代のページです。彼らはひょっとしたらもう、中国語は書けないのかも知れない。その代わり、イタリア語はしっかりと書いて、比較的、論旨もしっかりしています。

    とりあえず、ご一報まで。

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  4. この間、またコメントを書いたのに投稿できず(どうも調子が悪いのです)、結局今日に至りました。ミラノでの抗議集会も中止になったそうですが、新聞やTVでは伝わらない現地の声というものが聞きたいですね。亮介さんがTTの会で紹介された対話の場が役立つことを祈っています。

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  5. Bibiさんごめんなさい、何か余計なオプションを起動させてしまったようで、コメント公開の認証が必要になってしまっていたようです。

    親知らずをさっき抜いてきたので、ちょっと麻酔で頭が変です。そんなわけで、とりあえず、ここまで。

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  6. すごい昔にコメントさせて頂いた者です。お久しぶりでございます。
    オランダのとある町でもちょっと雲行きが怪しい感じです>中国人移民
    地元民から中国人だと勘違いされたインドネシア人の友人がトラブルに巻き込まれてしまったりと・・・
    まあ幸いというべきか、自分はアラブ人並みのバタ臭い九州顔をしちゃってますんで、中国人さん関連のトラブルには巻き込まれずに済んでますが^^; その代わりごく稀にモロッコ人と間違われて面倒になることが御座います。
    とりあえず年末まで日本を満喫しとこうと思います。はぁ

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  7. これまた古い記事にコメントありがとうございます。
    あの事件から一時期騒ぎましたが、今は落ち着いているようです。北京オリンピックの効果、というほどのものはないようで、むしろ、チベット騒動等でオリンピック自体は中国移民にとってはマイナスイメージ拡大の向きに働いた気がします。

    また今、欧州は不景気だ、というムードが高まりつつあるんで、どうしても有色移民はスケープゴートにされがちなんでしょう。

    かといって、日本人だから、自分が偉いというわけでもなく、日の丸を振って街を歩く気もないですし、、、考え始めると非常に複雑な問題です。個人のアイデンティティとか国籍とか国とか、様々なテーマにからんだ問題で、ここ数年来、いつかまとめてきちんと考えてみなければと思っています。

    まあ、難しいこと抜きに、正月は日本がいいです。本当(笑)

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