Twitterでもつぶやきましたが、ハヤカワのセールで現在Amazonの電子書籍キンドル版の『ナポリの物語』がたいへんお安くなっています。4巻もあるため書籍版ですと1万円を少し超えてしまいますが、6000円とちょっとです。
セール期間は4/13日までです。文庫判が出る気配もしばらくなさそうなので、とりあえず読んでみたい、そう思われていた読者のみなさん、電子書籍で構わないようでしたら、この機会にいかがでしょうか。
よろしくお願いいたします。
訳者拝
最近はこちらでも書いてます。どう使い分けていこうかな。
2020-03-26
2019-12-15
ナポリの物語 第四巻『失われた女の子』12/19日発売です!
お待たせいたしました。『ナポリの物語』全四巻、ようやく完結です。
いちおう当初の計画通りですが、三年近く、お待たせしてしまいました。
僕は海外にいるため、通常であれば発売日よりも先に出版社より訳者の手元に届く「完本」(業界用語でしょうか「完成本」の略と思われます)をまだ手にしていません(12月15日現在)。ですが、先日ネットで流れ出したカバー写真を見てにやにやしております。ついでに某所より拝借した1巻〜4巻のカバー写真をひとつにつなげて、屏風状にしてみました。
いいですねえ。イラストはすべて高橋将貴(たかはし・まさき)さん、装丁は1〜2巻が仁木順平(にき・じゅんぺい)さん、3〜4巻は早川書房デザイン室です。ありがとうございました。
なんだか話題だけど、全巻で揃ってから読み始めよう、そう思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。時は今です。長い物語です、年末年始に是非。
19日(火)の発売開始後、あとがきもこちらで公開します。
これまでの状況を見るに、たぶん今度も初版はそんなに部数が出ないと思いますので、4巻をすぐに読まれたい方は今からご予約がお勧めです。よろしくお願いいたします!
【読書メーター】第1巻『リラとわたし』に寄せられた皆様のご感想
【早川書房 note】「いつかの自分をみているよう」世界中の女性の共感をよぶナポリ発人気作『リラとわたし ナポリの物語1』とは?訳者あとがきを公開。
【早川書房 note】日経新聞、朝日新聞にて紹介! ひりひりする嫉妬まじりの憧れと友情。世界中の女性が夢中になっている『リラとわたし ナポリの物語1』公開vol.1
いちおう当初の計画通りですが、三年近く、お待たせしてしまいました。
僕は海外にいるため、通常であれば発売日よりも先に出版社より訳者の手元に届く「完本」(業界用語でしょうか「完成本」の略と思われます)をまだ手にしていません(12月15日現在)。ですが、先日ネットで流れ出したカバー写真を見てにやにやしております。ついでに某所より拝借した1巻〜4巻のカバー写真をひとつにつなげて、屏風状にしてみました。
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なんだか話題だけど、全巻で揃ってから読み始めよう、そう思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。時は今です。長い物語です、年末年始に是非。
19日(火)の発売開始後、あとがきもこちらで公開します。
これまでの状況を見るに、たぶん今度も初版はそんなに部数が出ないと思いますので、4巻をすぐに読まれたい方は今からご予約がお勧めです。よろしくお願いいたします!
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| インスタ用にこちらも作ってみましたが、これでも縦長過ぎ。。。 |
2018-10-28
紅豆 - 王菲 (フェイウォン)
中国語翻訳に挑戦。なんだか主語がよくわからないので適当に付け加え。こういう詩とか文語(書面語)は特に勉強不足。
イタリア語よりもひとつひとつの単語を見た時に絵が浮かぶ気がするのは、やっぱり漢字で育った日本人だからかな。あと曖昧でわかりにくい箇所もあるのだけど、そのファジーな感覚がアジアっぽくて非常好。イエスかノーかのイタリア語には求めにくい要素ではないか。
二、三、自信のない箇所もありますが、まあ勉強中ということで。
紅豆
あずき
一番
還沒好好的感受 雪花綻放的氣候
雪が花を咲かせる季節を まだふたりで味わったことがないけれど
我們一起顫抖 會更明白 甚麼是溫柔
一緒に震えればわかるかもしれないね やさしさとは何か
還沒跟你牽著手 走過荒蕪的沙丘
まだ君の手を引いて 荒れた砂漠を進んだこともないけれど
可能從此以後 學會珍惜 天長和地久
そうしてみれば 永遠を噛みしめることができるようになるかもしれないね
有時候 有時候 我會相信一切有盡頭
ときどき僕は思ってしまう すべてには終わりが来ると
相聚離開都有時候 沒有甚麼會永垂不朽
出会いがあれば別れもあり 永遠に続くものなど何もないと
可是我有時候 寧願選擇留戀不放手
それでも僕はときどき願ってしまう いつまでも君の手を離したくないと
等到風景都看透 也許你會陪我看細水長流
景色がはっきりと見えるまで待てば もしかしたら君とずっとこの先も一緒にいられるのではないかと
二番
還沒為你把紅豆 熬成纏綿的傷口
まだ君のために 癒えぬ傷になるまで小豆(相思相愛のたとえ)を煮たことがないけれど
然後一起分享 會更明白 相思的哀愁
あとでそれをふたりで分かちあえば もしかしたら恋の哀しみがわかるようになるのかもしれないね
還沒好好的感受 醒著親吻的溫柔
目覚めの口づけのやさしさも まだよく知らないけれど
可能在我左右 你才追求孤獨的自由
もしかすると僕の横にいてはじめて君は 孤独の自由を追い求めることができるのかもしれない
有時候 有時候 我會相信一切有盡頭
ときどき僕は思ってしまう すべてには終わりが来ると
相聚離開都有時候 沒有甚麼會永垂不朽
出会いがあれば別れもあり 永遠に続くものなど何もないと
可是我有時候 寧願選擇留戀不放手
それでも僕はときどき願ってしまう いつまでも君の手を離したくないと
等到風景都看透 也許你會陪我看細水長流
景色がはっきりと見えるまで待てば もしかしたら君とずっとこの先も一緒にいられるのではないかと
2018-06-05
新しい名字 ナポリの物語2
第2巻がようやく出ました。第1巻の読者の皆さん、お待たせいたしました。
あとがきが早川書房のNoteで公開されましたので、ぜひご覧ください。2巻のあとがきというのは初めてで何を書いたものかとさんざん迷ったのですが、物語の舞台になっているナポリという町について簡単なご案内+自分なりの印象をまとめてみました。
「ナポリを見て死ね」のナポリとはどんな町? 『新しい名字 ナポリの物語2』の訳者が描く港町の肖像|Hayakawa Books & Magazines(β) @Hayakawashobo|note(ノート)
電子書籍の各ショップでは序盤数章の無料サンプルもご利用いただけます。
honto.jp
Amazon Kindle shop
iBooks Store
読者のみなさんのご感想もレビューサイトで徐々に増えつつあります。ありがとうございます。
読書メーター
ナポリの物語第二巻、どうぞよろしくお願いいたします。
イタリア語翻訳のご相談はこちらから
http://www.traduzionegiapponese.com/welcome.html
2018-02-14
Egword復活間近というニュースが嬉しくて
Egword Universal 2(まだ2なのか?)復活間近というニュースが嬉しくて、詩なんだか歌詞なんだかエッセイなんだか、得体の知れぬものをベータ版で書いてみましたよ。原稿は縦書きなんだけど。某国の辺境を旅していた時の記憶をアレンジしたものです。読む人が読めば、町の名もカフェも(ひょっとすると登場人物も)特定できちゃうんでしょうが、わからないほうがよさげ。さりとてあんまり具体的なエッセンスがないと、話というのはまるで面白くないな、ということを今夜は学びました。
こういうのを書きためていくと、いつか歌が書けたりするのだろうか。年をとるほど、昔のことをやたらと思い出す、というのは本当なのだろうか。今からなんだか楽しみです。頭も記憶も悪くて、懐かしもうにも、普段、こうした話をなかなか思い出せないので(そう思うとやたらと記念写真を撮る人をけっして馬鹿にできませんね)。
こういうのを書きためていくと、いつか歌が書けたりするのだろうか。年をとるほど、昔のことをやたらと思い出す、というのは本当なのだろうか。今からなんだか楽しみです。頭も記憶も悪くて、懐かしもうにも、普段、こうした話をなかなか思い出せないので(そう思うとやたらと記念写真を撮る人をけっして馬鹿にできませんね)。
辺境にて
大陸にひとり、旅に出た時のこと
やけに埃っぽい辺境の町で
朝飯から昼飯まで来る日も来る日も
通いつめていたカフェがあった
飯がうまい訳でも、眺めが良い訳でもないのだけど
まあ、つまるところ、愛想のよい娘がひとりいてね
名はたしか、ローズといったか、ロージーだったか
どうせ、本名の訳もないのだけど
どこかずっと山奥のほうから出てきた、田舎娘のようだった
やせっぽちで、真っ黒に日焼けしていて
化粧っ気はまるでなくて、鼻の下にはうっすらと髭まで生えていて
けっして美人じゃないのだけれど
とにかく愛想がよかったのです
ゆくあてのない旅だった 見たい場所もなかった
とにかく変わりたくて 変われなくて
どう変わりたいのかもわからなくて
うろうろと焦りながら、西へ東へさまよい続け
やっとたどり着いた場所だった
つまり僕は疲れていたのだろう
だからあの子の笑顔が嬉しかった
それだけでよかった
それ以上は望んではいなかった たぶん
そうして幾日が過ぎたか
僕らは時々、散歩をするようになっていた
店から少し歩けば、泥色の川ですっぱだかの子どもたちが遊んでいたり
見晴らしのよい丘の上、静かな寺があったり
ぶたやニワトリがあちこちでゴミを漁っている市場があったり
訛りの強いあの子の言葉はよくわからなかったけれど
ふたりで歩くのは楽しかった
ある日の夕暮れ、いつもの散歩の途中で、町はずれのバス停に連れていかれた
あの子がどうしたかったのかはわからない
――いいから、とにかく来て
――しかたないな
そんな感じだった気がする
ほかに人影はなく、しばらく待ったが、バスは来なかった
きみは寂しげにほほえみ、でもほっとしたようにも見えた
僕はどうだったろう? なぜか記憶にない
そこで彼女との思い出は終わっている
あとはなにも思いだせない
きみは僕をどこに連れていきたかったのだろう?
僕はどこに行ってしまいたかったのだろう?
きみは僕をどこに連れていきたかったのだろう?
僕はどこに行ってしまいたかったのだろう?
2017-08-07
リラとわたし ナポリの物語1
七月に出ました拙訳、おかげさまで好評のようです。
エレナ・フェッランテ作 「リラとわたし」(早川書房)
「ナポリの物語」という4巻もの大長編小説の1巻目にあたります:
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013589/
https://honto.jp/netstore/pd-book_28538044.html
http://amzn.asia/b1w9UBf
くわしくはこちらで公開中のあとがきをご覧下さい:
https://note.mu/hayakawashobo01/n/n49abdadebf36
こちらでは冒頭四十ページ無料公開中です。
https://note.mu/hayakawashobo01/n/n29543eea8785
なお、iBooksストア、Kindleストア、Hontoなどで、電子書籍版の縦書きの無料サンプルもご利用になれます。
Twitterのまとめサイト機能(モーメント)を利用して、関連情報、レビューなどのまとめを作成中です。閲覧にユーザー登録の必要はありません:
https://twitter.com/i/moments/894471850780217345
読者のみなさんのご感想・レビュー:
読書メーター
ご購入はもちろんうれしいのですが、お近くの図書館などでリクエストしていただけますと、図書館好きの自分としましては、なおうれしく思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
エレナ・フェッランテ作 「リラとわたし」(早川書房)
「ナポリの物語」という4巻もの大長編小説の1巻目にあたります:
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013589/
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くわしくはこちらで公開中のあとがきをご覧下さい:
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こちらでは冒頭四十ページ無料公開中です。
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読者のみなさんのご感想・レビュー:
読書メーター
ご購入はもちろんうれしいのですが、お近くの図書館などでリクエストしていただけますと、図書館好きの自分としましては、なおうれしく思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
2017-02-14
久しぶりに
ご無沙汰しております。気づけば今年も2月に突入、旧正月すら明けてしまいましたね、遅ればせながらおめでとうございます。まあ、西暦の正月なんて冬至に比べれば個人的にはあってもないようなお祭りですが。
なんとか、冬山に復帰できました。
仕事が忙しかったのか、厄年を言い訳に怠け癖がついてしまったのか、はたまた中部イタリアを襲った大地震のせいか、例年の冬のベースキャンプ、フォーチェ村へと通じる道がいまだに閉鎖中(地震による落石が不安という、閉鎖期間の延期が未来永劫可能そうなあいまいな理由ですが)のためかわかりませんが、この冬もなかなか山に足が伸びず、高価な要りもせぬ新しい道具ばかり集まるという、山道具を集めるために稼いでいるのか、稼いでも山に行けないから散財するのかわからぬ、現代人らしい悪循環が続いておりました。おおいに貯めてフェラーリでも買おうなんて、壮大な夢は当然描けず。
ともかくも。フォーチェに行けぬなら仕方ないと代替ルートを求め、こんな所を二度ばかり歩いて、こんな写真を撮ってきました。

867mのヴァッレグラッシャ村からバンディテッロ山(1863m)にいたり、稜線闊歩ののち、以前働いていた小屋のあるアルティーノ村を経由して帰投。黄色は雪崩リスクのありそうな斜面。幸い、雪の状態は安定しているようでした。

朝。730出発。きれいにモルゲンロートしてましたが車で登山口に向かう途中で終わってしまい、撮り逃しました。一日中無風。気温2度から9度くらい。イタリアの天気予報も三日先くらいまではかなり精度があがりました。

光がぼんやりしていてめりはりのある絵はなかなか撮れませんでした。白黒・赤外調でごまかしてみたり。それでも青空でないとぱっとしませんね。

今回は全ルート、新兵器のスノーシューMSR ライトニング・アッセント22 W's+念のためピッケルで。
高度感のあるつるっぱげの急斜面の下降ではやはりアイゼンが欲しくなりましたが、凍りついてなければ、かなりのトラクションがきいておすすめです。なにより軽さは武器。ただし。。。
帰投後気がついたのですが、残念ながら、構造的な問題か、自分の使い方の悪さか、あるいはシューズの形状との相性の悪さか(これが多分いちばんの原因)、金属製のバックルがデッキにぶつかって、初回からいきなりデッキが切れちゃいました。
小型・軽量であえて女性用モデルを選んだのが裏目に出た(たぶん靴とデッキとのクリアランスが男性モデルより狭い。たぶん。)可能性もありますが、EU42.5 USA 9という靴のサイズ的にはメーカーの推奨サイズの範囲内なので、試し履きのできなかったオンラインショッピングの限界と設計ミスの半々ではないかと。とりあえずMSR(というかカスケードデザインが親会社のようで)にどうしたらいい?と質問中。で、回答を待つあいだ、とりあえず軽く縫い、さらにシール式の自転車パンク修理パッチ(Park toolのやつです)で補強しました。パッチが雪との接触で剥がれなければいちおう解決かな。
2017/02/15追記。カスケードデザインから返信があり、「バックルがぶつかる問題は残念ながら生じている。同じ問題に直面したユーザーの多くはぶつかる部分のデッキを少しカットしている」というメーカーとしては結構大胆なアドバイスが来ました。ちと驚いたのでそれは公式見解かと問い直すと、「あれだったらこちらでカットするからアイルランドのメンテナンス部門に送ってくれ」とのこと。送料が少々痛いですが、まあ、メーカー純正カスタマイズ&メンテと思って送ることにします。結果はまたご報告。
そういえばビデオも軽く撮りました。まあ、こんな感じの山です、という程度の動画です。
2017/03/03追記。メーカー送りから20日ほどで戻ってきました。期待していたほどの特別な処置はなく、結構大胆にざくざくとハサミで切っただけという感じ。そういうことのできる素材だという意味かも知れませんが、待ったほどの甲斐はなかったかも。同じ問題に直面した方は、新品の曲線ばさみでも購入して自分で切るのが良さそうです。
なんとか、冬山に復帰できました。
仕事が忙しかったのか、厄年を言い訳に怠け癖がついてしまったのか、はたまた中部イタリアを襲った大地震のせいか、例年の冬のベースキャンプ、フォーチェ村へと通じる道がいまだに閉鎖中(地震による落石が不安という、閉鎖期間の延期が未来永劫可能そうなあいまいな理由ですが)のためかわかりませんが、この冬もなかなか山に足が伸びず、高価な要りもせぬ新しい道具ばかり集まるという、山道具を集めるために稼いでいるのか、稼いでも山に行けないから散財するのかわからぬ、現代人らしい悪循環が続いておりました。おおいに貯めてフェラーリでも買おうなんて、壮大な夢は当然描けず。
ともかくも。フォーチェに行けぬなら仕方ないと代替ルートを求め、こんな所を二度ばかり歩いて、こんな写真を撮ってきました。

867mのヴァッレグラッシャ村からバンディテッロ山(1863m)にいたり、稜線闊歩ののち、以前働いていた小屋のあるアルティーノ村を経由して帰投。黄色は雪崩リスクのありそうな斜面。幸い、雪の状態は安定しているようでした。

朝。730出発。きれいにモルゲンロートしてましたが車で登山口に向かう途中で終わってしまい、撮り逃しました。一日中無風。気温2度から9度くらい。イタリアの天気予報も三日先くらいまではかなり精度があがりました。

光がぼんやりしていてめりはりのある絵はなかなか撮れませんでした。白黒・赤外調でごまかしてみたり。それでも青空でないとぱっとしませんね。

今回は全ルート、新兵器のスノーシューMSR ライトニング・アッセント22 W's+念のためピッケルで。
高度感のあるつるっぱげの急斜面の下降ではやはりアイゼンが欲しくなりましたが、凍りついてなければ、かなりのトラクションがきいておすすめです。なにより軽さは武器。ただし。。。
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| deck fraying problem of Lightning Ascent 22 W's, caused by the metal buckle of strap |
小型・軽量であえて女性用モデルを選んだのが裏目に出た(たぶん靴とデッキとのクリアランスが男性モデルより狭い。たぶん。)可能性もありますが、EU42.5 USA 9という靴のサイズ的にはメーカーの推奨サイズの範囲内なので、試し履きのできなかったオンラインショッピングの限界と設計ミスの半々ではないかと。とりあえずMSR(というかカスケードデザインが親会社のようで)にどうしたらいい?と質問中。で、回答を待つあいだ、とりあえず軽く縫い、さらにシール式の自転車パンク修理パッチ(Park toolのやつです)で補強しました。パッチが雪との接触で剥がれなければいちおう解決かな。
2017/02/15追記。カスケードデザインから返信があり、「バックルがぶつかる問題は残念ながら生じている。同じ問題に直面したユーザーの多くはぶつかる部分のデッキを少しカットしている」というメーカーとしては結構大胆なアドバイスが来ました。ちと驚いたのでそれは公式見解かと問い直すと、「あれだったらこちらでカットするからアイルランドのメンテナンス部門に送ってくれ」とのこと。送料が少々痛いですが、まあ、メーカー純正カスタマイズ&メンテと思って送ることにします。結果はまたご報告。
そういえばビデオも軽く撮りました。まあ、こんな感じの山です、という程度の動画です。
2017/03/03追記。メーカー送りから20日ほどで戻ってきました。期待していたほどの特別な処置はなく、結構大胆にざくざくとハサミで切っただけという感じ。そういうことのできる素材だという意味かも知れませんが、待ったほどの甲斐はなかったかも。同じ問題に直面した方は、新品の曲線ばさみでも購入して自分で切るのが良さそうです。
Labels:
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リペア,
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故障,
登山,
破損
Location:
イタリア 〒63088 アスコリ・ピチェノ ヴァッレグラシャ
2015-12-11
『海にはワニがいる』 あとがき公開
そんななかでヨーロッパは経済難民の入国を制限し、シリア、イラク、アフガン難民に限定して入国を認めるなど、決して理想的とは言えない解決策でなんとか対応しようとしています(決して理想的とは言えないというのは、実際のところ両者の線引きはそう簡単な話ではないだろうそう思うからです。ただし難民鎖国を続ける日本とくらべれば、やはり偉いと思います)。
そこで思い出しました。数年前に僕はアフガン難民の少年が陸路でイタリアまでやってくるファビオ・ジェーダ作「海にワニがいる」という作品を早川書房の依頼で訳し、出版しましたが、恒例のあとがき公開をまだしていなかったのです。自分の訳した本の「宣伝」というとどうも気が引ける(なんでしょうね、これは)小心者ですが、この本はできるだけ多くの人に読んでいただきたい一冊です。
本書の文章は小学校の高学年児童のみなさんから読んでいただけると思います(そうなればと思って訳しましたが、むずかしかったらごめんなさい)。主人公はシリア難民ではありませんが、シリアより遠いアフガニスタンからおそらくもっと厳しい道のりをたどって、イタリアまでたどり着いたひとりの少年です。先日新聞で読みましたが、彼と同じようにアフガニスタンから逃れてくる人々は今も絶えずいるようです。
図書館にも入っていると思いますので、どうかお手に取っていただければと思います。
国連UNHCRへの募金等、現状をなんとかするためのアクションももちろん大切ですが、現代という時代を少しでもリアルに実感し、さまざまな境遇の人間たちの生活への想像力・共感を養っていくことも長期的に見れば非常に大切だと思います。
『海にはワニがいる』どうぞよろしくお願いいたします。
訳者拝
※以下のあとがきは編集サイドの校正前の文章です。実際に出版されたものとは細部が異なっている可能性がありますことを、あらかじめご了承下さい。
-------------------
訳者あとがき
「海にはワニがいる(Nel mare ci sono i coccodrilli)」は、十歳の時に故国アフガニスタンを去った少年が八年間に渡る密入国の旅の末に、ついにイタリアに安住の地を見いだすまでの日々を語ったノンフィクション作品である。
それはそもそも、少年、エナヤットッラー・アクバリが自ら望んだ旅ではなかった。彼の一族は多民族国家アフガニスタンでも少数派のハザラ人で、多数派のパシュトゥン人とタリバーンからきびしい迫害を受けていた。父親の死後、幼いエナヤットッラーにも迫害の手が伸びるようになる。息子の命を危ぶんだ母親は彼を隣国パキスタンに連れだし、あえて置きざりにした。それがエナヤットッラーの旅の始まりだった。
パキスタンからイランへ、イランからトルコへ、トルコからギリシア、そしてイタリアへといたる少年の命がけの旅(風雪の中の国境の山越えや、ゴムボートでの密航で、旅の仲間が実際に幾人も命を落としている)の記録は、イタリアの読者の大きな感動を呼び、二〇一〇年の刊行後、数多くの版を重ねている。二〇一一年には同国で最も栄誉ある文学賞のひとつ、ストレーガ賞にもノミネートされて最終選考まで残ったが、惜しくも受賞はならなかった。
著者ホームページ(www.fabiogeda.it)によれば、本作は既に二十七カ国で刊行が予定されており、「ぼくは恐くない」(二〇〇三年)などの作品がある伊映画プロダクション、カトレア社による映画化も予定されているという。
本書はエナヤットッラーが語り、著者ファビオ・ジェーダが聞き書きするという体裁をとっている。ジェーダは一九七二年トリノ生まれ。現在もトリノに暮らし、児童福祉・教育問題をテーマに幅広い活動を行っている。多彩なメディアで記事も発表しているが、本人はジャーナリストと呼ばれることを嫌っているようだ。これまでに四冊の本を出版(二〇一一年八月現在)、この「海にはワニがいる」が本邦初登場の作品となる。
エナヤットッラーは「よりよい暮らしがしたい」という願望に突き動かされ、旅を続けた。彼のいうところの「よりよい暮らし」とは、〝外国でひと山当てて大金持ちになりたい〟というような話ではなく、学校に通い、仕事をし、人間らしく生活することに過ぎない。いわゆる〝先進国〟のわたしたちから見れば、実にささいな願いに見える。それは国の法律で保証された基本的人権の一部であり、当たり前のことであるはずだから。ただし、それが当たり前のことだからこそ、わたしたちには、彼ら難民たちが〝わざわざ〟故国を捨て、遠い日本(あるいはイタリア)までやってくる心がよく飲みこめない部分があるのではないか。本書を通じて、彼の心に少しでも寄りそうことができたなら、それは読者自身にとっても、これからの日本、そして世界にとっても、ひとつ貴重な経験となるだろう。
最後に、難民受け入れ数の少なさで国際社会から批判を浴びることも多い、日本の難民保護政策について関心を持たれた読者があれば、国連難民高等弁務官事務所の日本語ホームページの訪問をおすすめしたい(www.unhcr.or.jp)。さらに、有名動画サイトでEnaiatollah Akbariをキーワード検索すると、エナヤットッラー本人の登場するビデオ(イタリア語)も視聴可能だ。
平成二十三年八月 モントットーネ村にて 訳者
2015-12-08
Vista da M. Porche (2233m) - ポルケ山からの眺め
おとつい(2015/12/05)の山行での一枚。
フリッカーのページでこの写真へのアクセスが妙にすごいので、こちらでもご紹介。
ある意味、とてもシビッリーニ山地らしい眺めかも知れません。今回のコースではふもとからここまで約6時間。尾根に出ると雪はまるでないか、くるぶしの上くらいまで。古い残雪でキックステップのみ。アイゼンも使いませんでした。ワカンは沢筋で少々使ったけど、なくても全然なんとかなる程度。スノーシューズで全ルート踏破したら、あるいは速かったのかな、どうなんだろう。
Una vista dalla Monte Porche sui Sibillini. Percorso altro ieri 05-12-2015: Foce (945m) - cresta Tre Faggi - Passo Palazzo Borghese (circa 5 ore) - Monte Porche (2233m)- cresta Frondosa - Fosso Zappacenere - Foce (circa 8 ore).
La neve era poca, non ho utilizzato né i ramponi né la piccozza ma solo gli Wakan, le racchette leggere tipiche dei montanari giapponesi, per breve tratto nel bosco e nel fosso più che altro per divertirmi.
ある意味、とてもシビッリーニ山地らしい眺めかも知れません。今回のコースではふもとからここまで約6時間。尾根に出ると雪はまるでないか、くるぶしの上くらいまで。古い残雪でキックステップのみ。アイゼンも使いませんでした。ワカンは沢筋で少々使ったけど、なくても全然なんとかなる程度。スノーシューズで全ルート踏破したら、あるいは速かったのかな、どうなんだろう。
Una vista dalla Monte Porche sui Sibillini. Percorso altro ieri 05-12-2015: Foce (945m) - cresta Tre Faggi - Passo Palazzo Borghese (circa 5 ore) - Monte Porche (2233m)- cresta Frondosa - Fosso Zappacenere - Foce (circa 8 ore).
La neve era poca, non ho utilizzato né i ramponi né la piccozza ma solo gli Wakan, le racchette leggere tipiche dei montanari giapponesi, per breve tratto nel bosco e nel fosso più che altro per divertirmi.
Labels:
Escrusionismo,
in italiano,
M.Sibillini山脈,
neve,
山道具,
登山,
雪山
2015-11-24
2015-11-11
『スーパーノート』あとがき公開
ご無沙汰しております。
さる2015年7月末に訳書がまた一冊出ました。
イタリアのカスパー捜査官とルイージ・カルレッティのコンビによる『スーパーノート』(副題:世界を支配する情報戦争と偽百ドル冊)です。日本での出版社は河出書房新社となります。
河出書房新社の本作ページ
honto.jpのページ
Amazon.co.jpのページ
ご感想・書評・レビューのページ:
読書メーター
ブクログ
以下に、編集前の訳者あとがきを転載します。出版されたあとがきとは細部の表現が異なっているかもしれません。
どうぞよろしくお願いします。
***
訳者あとがき
本書は2014年3月にイタリアのモンダドーリ社より刊行された『Supernotes』の邦訳である。
作者のひとりであるカスパー捜査員はイタリアの情報機関SISMIやアメリカのCIAに協力し、30年にわたって覆面捜査員(アンダーカバー・エージエント)として活躍してきた人物だ。そして、彼のカンボジアにおける特異な体験をベテランジャーナリストのルイージ・カルレッティとともにノンフィクション小説としてまとめたのがこの作品だ。
カスパーの特異な体験とは何か。2008年3月、彼は突然、カンボジア軍の特殊部隊に身柄を拘束され、373日におよぶ地獄のような囚人生活を送ることになったのだ。
正式な逮捕状もなければ、脱税容疑という逮捕理由にもまったく覚えがなく、しかも拘束直後に危うく闇に葬り去られるところだった。なんとか命拾いはしたものの、それからの日々は特殊部隊のサディスティックな隊長に強請られ、病院刑務所で薬漬けにされ、〝再教育センター〟とは名ばかりの非人道的な強制収容所に収監されてリンチに遭い、ここでも強欲な所長にやはり強請られ、FBIと国土安全保障章(ホームランドセキユリテイ)を名乗る怪しげなアメリカ人のふたり組から連日の尋問を受ける悲惨なものとなった。なぜかイタリア政府もまともな救いの手を差し伸べてくれない。どうしてこのようなことになったのか。カスパーにも思い当たる節がないではなかった。もしかしてCIAの人間に依頼されたあの北朝鮮がらみの捜査のせいじゃないか……地獄からの生還を目指し、カスパーの必死な闘いが始まる。
タイトルにもなっているスーパーノートとは、米ドルの実に精巧な偽札のことだ。材料も製法も本物の米ドル紙幣と同じなら、製造に使用される印刷機まで同じで、違うのは印刷場所だけ。偽札というよりは〝違法に印刷された本物の米ドル札〟とでも呼んだほうが当たっているかもしれない。スーパーノートの存在そのものは以前から裏社会の事情に通じる人々のあいだでよく知られていたが、誰がなんの目的で偽造しているのかははっきりしていなかった。
イタリアマフィアの東南アジアにおけるマネーロンダリングの捜査を進めるうち、カスパーはスーパーノートと何度もニアミスをするようになり、ついにはある驚きの事実にたどり着く。しかしそれは——物語の肝となるこの事実について、これ以上の詳述は避けよう。読者のみなさんにも是非ご自分でカスパーの捜査と発見を追体験していただきたい。
なお、『スーパーノート』の内容を作者ふたりは『すべて実話だ』と主張しており、カルレッティのホームページ(www.luigicarletti.com 伊語のみ)では証拠品も提示されている(該当ページ)。事実、カスパーが主役となったふたつの麻薬組織撲滅作戦(パイロット作戦とシナイ作戦、リンク先は関連記事)を始め、作中に登場する人名や出来事(イアン・トラヴィスの暗殺事件、ヴィクター・チャオの投獄など)の多くは、インターネットでも当時の新聞記事で確認できる。
ただし本書はいわゆるノンフィクションというより、サスペンス映画的なスピード感のあるひとつの小説として仕上げられている。カスパーの獄中生活の章、エリート捜査員として活躍してきた30年間を振りかえる回想の章、そしてイタリアでカスパーを救わんと奔走する本書のヒロイン、バルバラ弁護士の章。この三つの章がスーパーノートというキーワードを柱に交互に登場する構成で、極めてテンポがいい。
情報機関と秘密捜査員の世界。カスパーが接触し、時には交友関係すら結んだエキセントリックな犯罪者たち。グローバルに跋扈するマフィアの実態。国際政治の裏舞台——そうしたわたしたちにはなかなか知りえない世界を描く、現場に身を置いた当事者ならではの活き活きとした筆も魅力的だ。
カスパー(というのは現役時代のコードネームだ。本名は本人と家族の安全のため伏せられている)は、イタリアのインテリジェンスの世界でもずばぬけた才能を持つ捜査員(エージェント)だった。複数の外国語を流ちょうに操り、軍隊時代は空挺部隊に所属、戦闘機から大型旅客機まであらゆる飛行機の操縦もでき、アリタリア航空のパイロットという仕事をスパイ稼業の隠れみのにしていた時期もある。しかも回想の章で語られる過去のエピソードからは、洒落者でハンサム、格闘技のチャンピオンでもあり、ワインにも詳しく、プレイボーイなカスパーの姿が浮かび上がってくる。まるで007ことジェームズ・ボンドだが、現実の世界のボンドにはボンドなりの悩みがあるものらしい。
本書の刊行後に発表されたインタビュー記事でカスパーはこう語っている。『身分秘匿捜査に従事する捜査員たちはその特殊な二重生活ゆえに、家庭の問題やさまざまなトラウマを抱え、引退後もなかなか平常の生活に戻れないケースが多い。本書の執筆は自分にとって、そうしたトラウマを乗り越えるためのひとつの治癒行為でもあった』さらに別の記事によれば、彼は自分と同じ境遇の元捜査員たちを支援するためのNPOも設立したということだ。
ここで日本人読者にはなじみが薄いと思われる用語をいくつか簡単に説明しておきたい。
カスパーは元憲兵(カラビニエーリ)だが、そもそも憲兵隊(アルマ・デイ・カラビニエーリ)とは、陸・海・空軍とともにイタリア軍を構成する四軍のひとつだ。ただし憲兵は軍人でありながら、平時は国家警察と並んで一般の警察活動に従事する点が特徴的だ(イタリアにおいでになったことのある読者は、上下黒の制服でズボンに赤いラインの入った警察官たちをご記憶かもしれない。彼らこそカラビニエーリだ)。
そしてカスパーが秘密捜査員として主に協力してきた憲兵隊の特殊作戦部隊(ROS)。こちらは組織犯罪・麻薬取引・テロリズム対策を担当する部署だ。同じく憲兵隊の特殊介入部隊(GIS)はテロ犯罪や誘拐事件等の現場における危険な介入作戦に特化した特殊部隊で、GISの隊員たちともカスパーは深いきずなで結ばれているようだ。
国防省情報局(SISMI)はイタリアの代表的な情報機関のひとつだが、2007年のインテリジェンス改革の際に情報対外治安局(AISE)へと改編された。作中の『イタリアの情報機関』という表現は主にこのふたつの機関を指しているが、場合によっては両者を含むイタリアのインテリジェンス・コミュニティ全体を指している。
2015年5月現在、本書はアメリカ、スペイン、フランス、トルコで翻訳出版されており、その他にも十ヵ国以上で出版が予定されている。映画化の権利もアメリカのプロデューサーが既に取得したというから楽しみだ。
最後になるが、わたしの中高時代の同級生で現在は航空実務に就くT君には航空関連用語について貴重なアドバイスを多々いただいた。ここに深く感謝したい。
そして今回の翻訳のチャンスをくださった河出書房新社T氏、株式会社リベルY氏の両氏にもお礼を申し上げます。
さる2015年7月末に訳書がまた一冊出ました。
イタリアのカスパー捜査官とルイージ・カルレッティのコンビによる『スーパーノート』(副題:世界を支配する情報戦争と偽百ドル冊)です。日本での出版社は河出書房新社となります。
河出書房新社の本作ページ
honto.jpのページ
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以下に、編集前の訳者あとがきを転載します。出版されたあとがきとは細部の表現が異なっているかもしれません。
どうぞよろしくお願いします。
***
訳者あとがき
本書は2014年3月にイタリアのモンダドーリ社より刊行された『Supernotes』の邦訳である。
作者のひとりであるカスパー捜査員はイタリアの情報機関SISMIやアメリカのCIAに協力し、30年にわたって覆面捜査員(アンダーカバー・エージエント)として活躍してきた人物だ。そして、彼のカンボジアにおける特異な体験をベテランジャーナリストのルイージ・カルレッティとともにノンフィクション小説としてまとめたのがこの作品だ。
カスパーの特異な体験とは何か。2008年3月、彼は突然、カンボジア軍の特殊部隊に身柄を拘束され、373日におよぶ地獄のような囚人生活を送ることになったのだ。
正式な逮捕状もなければ、脱税容疑という逮捕理由にもまったく覚えがなく、しかも拘束直後に危うく闇に葬り去られるところだった。なんとか命拾いはしたものの、それからの日々は特殊部隊のサディスティックな隊長に強請られ、病院刑務所で薬漬けにされ、〝再教育センター〟とは名ばかりの非人道的な強制収容所に収監されてリンチに遭い、ここでも強欲な所長にやはり強請られ、FBIと国土安全保障章(ホームランドセキユリテイ)を名乗る怪しげなアメリカ人のふたり組から連日の尋問を受ける悲惨なものとなった。なぜかイタリア政府もまともな救いの手を差し伸べてくれない。どうしてこのようなことになったのか。カスパーにも思い当たる節がないではなかった。もしかしてCIAの人間に依頼されたあの北朝鮮がらみの捜査のせいじゃないか……地獄からの生還を目指し、カスパーの必死な闘いが始まる。
タイトルにもなっているスーパーノートとは、米ドルの実に精巧な偽札のことだ。材料も製法も本物の米ドル紙幣と同じなら、製造に使用される印刷機まで同じで、違うのは印刷場所だけ。偽札というよりは〝違法に印刷された本物の米ドル札〟とでも呼んだほうが当たっているかもしれない。スーパーノートの存在そのものは以前から裏社会の事情に通じる人々のあいだでよく知られていたが、誰がなんの目的で偽造しているのかははっきりしていなかった。
イタリアマフィアの東南アジアにおけるマネーロンダリングの捜査を進めるうち、カスパーはスーパーノートと何度もニアミスをするようになり、ついにはある驚きの事実にたどり着く。しかしそれは——物語の肝となるこの事実について、これ以上の詳述は避けよう。読者のみなさんにも是非ご自分でカスパーの捜査と発見を追体験していただきたい。
なお、『スーパーノート』の内容を作者ふたりは『すべて実話だ』と主張しており、カルレッティのホームページ(www.luigicarletti.com 伊語のみ)では証拠品も提示されている(該当ページ)。事実、カスパーが主役となったふたつの麻薬組織撲滅作戦(パイロット作戦とシナイ作戦、リンク先は関連記事)を始め、作中に登場する人名や出来事(イアン・トラヴィスの暗殺事件、ヴィクター・チャオの投獄など)の多くは、インターネットでも当時の新聞記事で確認できる。
ただし本書はいわゆるノンフィクションというより、サスペンス映画的なスピード感のあるひとつの小説として仕上げられている。カスパーの獄中生活の章、エリート捜査員として活躍してきた30年間を振りかえる回想の章、そしてイタリアでカスパーを救わんと奔走する本書のヒロイン、バルバラ弁護士の章。この三つの章がスーパーノートというキーワードを柱に交互に登場する構成で、極めてテンポがいい。
情報機関と秘密捜査員の世界。カスパーが接触し、時には交友関係すら結んだエキセントリックな犯罪者たち。グローバルに跋扈するマフィアの実態。国際政治の裏舞台——そうしたわたしたちにはなかなか知りえない世界を描く、現場に身を置いた当事者ならではの活き活きとした筆も魅力的だ。
カスパー(というのは現役時代のコードネームだ。本名は本人と家族の安全のため伏せられている)は、イタリアのインテリジェンスの世界でもずばぬけた才能を持つ捜査員(エージェント)だった。複数の外国語を流ちょうに操り、軍隊時代は空挺部隊に所属、戦闘機から大型旅客機まであらゆる飛行機の操縦もでき、アリタリア航空のパイロットという仕事をスパイ稼業の隠れみのにしていた時期もある。しかも回想の章で語られる過去のエピソードからは、洒落者でハンサム、格闘技のチャンピオンでもあり、ワインにも詳しく、プレイボーイなカスパーの姿が浮かび上がってくる。まるで007ことジェームズ・ボンドだが、現実の世界のボンドにはボンドなりの悩みがあるものらしい。
本書の刊行後に発表されたインタビュー記事でカスパーはこう語っている。『身分秘匿捜査に従事する捜査員たちはその特殊な二重生活ゆえに、家庭の問題やさまざまなトラウマを抱え、引退後もなかなか平常の生活に戻れないケースが多い。本書の執筆は自分にとって、そうしたトラウマを乗り越えるためのひとつの治癒行為でもあった』さらに別の記事によれば、彼は自分と同じ境遇の元捜査員たちを支援するためのNPOも設立したということだ。
ここで日本人読者にはなじみが薄いと思われる用語をいくつか簡単に説明しておきたい。
カスパーは元憲兵(カラビニエーリ)だが、そもそも憲兵隊(アルマ・デイ・カラビニエーリ)とは、陸・海・空軍とともにイタリア軍を構成する四軍のひとつだ。ただし憲兵は軍人でありながら、平時は国家警察と並んで一般の警察活動に従事する点が特徴的だ(イタリアにおいでになったことのある読者は、上下黒の制服でズボンに赤いラインの入った警察官たちをご記憶かもしれない。彼らこそカラビニエーリだ)。
そしてカスパーが秘密捜査員として主に協力してきた憲兵隊の特殊作戦部隊(ROS)。こちらは組織犯罪・麻薬取引・テロリズム対策を担当する部署だ。同じく憲兵隊の特殊介入部隊(GIS)はテロ犯罪や誘拐事件等の現場における危険な介入作戦に特化した特殊部隊で、GISの隊員たちともカスパーは深いきずなで結ばれているようだ。
国防省情報局(SISMI)はイタリアの代表的な情報機関のひとつだが、2007年のインテリジェンス改革の際に情報対外治安局(AISE)へと改編された。作中の『イタリアの情報機関』という表現は主にこのふたつの機関を指しているが、場合によっては両者を含むイタリアのインテリジェンス・コミュニティ全体を指している。
2015年5月現在、本書はアメリカ、スペイン、フランス、トルコで翻訳出版されており、その他にも十ヵ国以上で出版が予定されている。映画化の権利もアメリカのプロデューサーが既に取得したというから楽しみだ。
最後になるが、わたしの中高時代の同級生で現在は航空実務に就くT君には航空関連用語について貴重なアドバイスを多々いただいた。ここに深く感謝したい。
そして今回の翻訳のチャンスをくださった河出書房新社T氏、株式会社リベルY氏の両氏にもお礼を申し上げます。
2015年5月 モントットーネ村にて
2015-07-30
2015-03-05
またかよ
今朝、バールで、朝食を取りながら新聞を読んでいた時のこと。地中海を渡ってイタリアにやってくるボートピープルの記事を読んでいて、この寒いのに本当に気の毒だなあ、なんてことを割と心の底から思っていたら、ひとりの黒人がドアを開けて入ってきた。ライターやら足ふきマットやらを売るアフリカ人の行商だ。というか誰もそんなものは基本的にほしくないので、実質的には物乞いだろう。実際、買わないと、ただ小銭をせびられることも多い。
みんな調子を合わせて挨拶ぐらいはしてやるが、何も買わない。イタリア人だって不景気だよ、もっともである。実際、このところの不景気は洒落にならない。
で彼を見た時、俺はまず、またかよ、と思った。こんな小さな村じゃなくてもっと人の多い大きな町に行けよ。車で来てるんだろう。ガソリン代もかかるだろうに…...ふと目を落とせば、手元にはボートピープルの記事。そうだ。この男もやっぱりこうして海を渡ってきたんだ…...勝手に気まずくなってページを一枚めくった。
小銭ひとつもらえずに男がドアを出て、また冷たい雨のなかを歩きだすのが見えた。
で、やっぱり少し悲しくなった。
またかよ、というこの4文字には本当に色々な問題がこもっていると思う。
またかよ、と思うのは、みんな同じ、またあいつらか、そう思うからだ。
またかよ、というほど、まともに相手をしたこともないくせに。
またかよ、と言われる日がお前にも来るかもしれないんだぜ。
またかよ。俺はまたこんなことでつまずいている。
こんなことで。
またかよ。
http://www.afpbb.com/articles/-/3039210
「難民29人が低体温症で死亡、アフリカから船でイタリア目指す」
みんな調子を合わせて挨拶ぐらいはしてやるが、何も買わない。イタリア人だって不景気だよ、もっともである。実際、このところの不景気は洒落にならない。
で彼を見た時、俺はまず、またかよ、と思った。こんな小さな村じゃなくてもっと人の多い大きな町に行けよ。車で来てるんだろう。ガソリン代もかかるだろうに…...ふと目を落とせば、手元にはボートピープルの記事。そうだ。この男もやっぱりこうして海を渡ってきたんだ…...勝手に気まずくなってページを一枚めくった。
小銭ひとつもらえずに男がドアを出て、また冷たい雨のなかを歩きだすのが見えた。
で、やっぱり少し悲しくなった。
またかよ、というこの4文字には本当に色々な問題がこもっていると思う。
またかよ、と思うのは、みんな同じ、またあいつらか、そう思うからだ。
またかよ、というほど、まともに相手をしたこともないくせに。
またかよ、と言われる日がお前にも来るかもしれないんだぜ。
またかよ。俺はまたこんなことでつまずいている。
こんなことで。
またかよ。
http://www.afpbb.com/articles/-/3039210
「難民29人が低体温症で死亡、アフリカから船でイタリア目指す」
2015-01-11
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
本年度もよろしくお願いいたします。
今年はひさしぶりに文芸翻訳の作品を出版できそうです。
日本にもひさしぶりに帰れるとよいのですが、、、
飯田亮介
写真は今朝の霧に包まれたモントットーネ郊外の光景。光も陰も霧もある、、、なんとなく今の世情のようで。
2014-08-12
庭の木になるプラム。半分以上は虫がついてしまうが、それでも毎年食べきれないくらい採れる。しかも落ちた種から毎年芽が出るから、相当にこの土地に気候に適した果樹なのだろう。
庭の洋ナシの実が終われば、次はプラム。八月の村祭りの時期とも一致する。果物好きのスズメバチに要注意の季節。だんだんとそういう歳時記のようなものが自分の中にできてくる。この地にいっそう根付けた感じがして嬉しい。
来年はこのプラムで梅干し作りに挑戦したい。
庭の洋ナシの実が終われば、次はプラム。八月の村祭りの時期とも一致する。果物好きのスズメバチに要注意の季節。だんだんとそういう歳時記のようなものが自分の中にできてくる。この地にいっそう根付けた感じがして嬉しい。
来年はこのプラムで梅干し作りに挑戦したい。
2014-03-15
9月、東京の路上で: 【「あの朝鮮人たちに指一本ふれさせねえぞ」。 朝鮮人を「かくまった」庶民について考える】
いい言葉だ。「だが、たけりくるった「日本人」の群衆が、特定の誰かではなく「朝鮮人」を殺せと叫んでいるとき、その前に一人で立ちふさがる人を支えるのは、「日本人の誇り」ではなく、「人間の矜持」ではないか。」
9月、東京の路上で: 【「あの朝鮮人たちに指一本ふれさせねえぞ」。 朝鮮人を「かくまった」庶民について考える】: 日本語/English ところが、3丁目と馬込沢の自警団が凶器をもって「丸山に朝鮮人が二人いるが、あれを生かしておいてはならん」といって押しかけてきたんです。(中略)だから徳田安蔵だの富蔵だのの連中は「奴ら、今夜来るに相違ないが、来ても渡すまい。奴らが来ればすぐ殺されちゃう...
9月、東京の路上で: 【「あの朝鮮人たちに指一本ふれさせねえぞ」。 朝鮮人を「かくまった」庶民について考える】: 日本語/English ところが、3丁目と馬込沢の自警団が凶器をもって「丸山に朝鮮人が二人いるが、あれを生かしておいてはならん」といって押しかけてきたんです。(中略)だから徳田安蔵だの富蔵だのの連中は「奴ら、今夜来るに相違ないが、来ても渡すまい。奴らが来ればすぐ殺されちゃう...
2014-01-14
mattina silenziosa - 静かな朝
2014-01-01
今年もよろしくお願いします
明けましておめでとうございます。
我が家も無事、新年を迎えることができました。
今年は何か「自分のもの」を作ってみたい。漠然とそんなことを考えています。
それが文章になるのか、音楽になるのか、写真になるのか、登山になるのか、こちらでのなんらかの活動になるのか分かりませんが、ひとつやってみたい、そんな気持ちです。
我が家も無事、新年を迎えることができました。
今年は何か「自分のもの」を作ってみたい。漠然とそんなことを考えています。
それが文章になるのか、音楽になるのか、写真になるのか、登山になるのか、こちらでのなんらかの活動になるのか分かりませんが、ひとつやってみたい、そんな気持ちです。
写真は仕事場の薪ストーブです。
日ごろの感謝を込め、元日だけ火を落としました。
午年らしく、なんとか飛躍できるといいですね。
飯田亮介
2013-11-20
五番街のマリーへ 歌ってみました
横着してMacbookのPhoto Boothから録音。雑音ありますが。73年の歌だそうで。俺、生まれてないや。una canzone Folk anni 70' giapponese, "Per la Mary della 5° street" original song by Pedro & Capricious in 1973.
2013-10-16
『兵士たちの肉体』パオロ・ジョルダーノ(早川書房) 訳者あとがき公開
ご無沙汰しております。
去る10月15日、わたしの訳したパオロ・ジョルダーノ作『兵士たちの肉体』が早川書房より出版されました。以下に訳者あとがきを公開いたします。なお、以下の文章は編集サイドの校正前の文章ですので、実際に発売された本のあとがきとは一部表現などが異なるかも知れません。その点はあらかじめご了承下さい。
『兵士たちの肉体』、どうぞよろしくお願いいたします。
訳者拝
----------------
訳者あとがき
本書は、若手イタリア人作家を代表するひとり、パオロ・ジョルダーノの il corpo umano (二〇一二年)の邦訳である。
二〇〇八年発表の処女作『素数たちの孤独』(ハヤカワepi)でいきなりイタリア文壇最高峰の賞のひとつストレーガ賞を受賞し、一躍ときのひととなったジョルダーノが五年ぶりに発表した待望の第二作がこの『兵士たちの肉体』である
物語の主な舞台は、二〇〇一年に勃発した紛争でタリバーン掃討作戦の続くアフガニスタン。主な登場人物は、同国南部の前哨基地フォブ・アイスに国際治安支援部隊として派遣されたイタリア陸軍の若者たちだ。
このフォブ・アイスという基地は実在する。そして、二〇一三年現在も、同基地におけるイタリア陸軍の活動は継続している。さらに、この小説はあくまでフィクションだが、数年前アフガニスタンでイタリア兵が犠牲となった実際の事件が物語の下敷きとなっている。
そう聞けば、あなたはどんな筋書きを想像されるだろうか。タリバーンとイタリア兵の激戦、戦乱に苦しむ無辜の民を描き、戦争の無益さ、反戦平和を訴えるドキュメンタリー的な作品。そんなところかもしれない。
実は訳者であるわたし自身がそんな予想とともに読み始めたのだが、気持ちよく裏切られた。できれば、その裏切りを読者にも味わっていただきたい。
最初に本作のキーワードを述べれば、ここにはまず若いイタリア兵たちの「青春」がある。そして彼らの「葛藤」がある。戦争ものであるから(と言い切ってしまうことにためらいも感じるが)当然「戦い」もある。ただし「戦い」といっても銃火を交える戦闘よりも、個々人の内面における「自分との戦い」が主に描かれている。アフガニスタンという「戦地」、フォブ・アイスという「砦」はメタファーに過ぎないようだ。登場人物がイタリア人であることすら重要ではない。『兵士たちの肉体』はむしろ、先進国に生きる今の時代のわたしたちに共通した心の問題、家族の問題、人生の諸問題をとらえた、より大きな作品のようだ。作者が扉に『西部戦線異常なし』の一節を引用したのは、かの名作とそのあたりが共通しているためかもしれない。
つまりこれは、現実の戦場を舞台としながら、若い兵士たちの心の中という、本人以外には見えない「戦場」で日々展開される葛藤をひとつの「戦争」として描いた物語である。少しややこしいかもしれないが、そうした戦地を舞台とした「青春小説」を作者は書きたかったのではないかと思う。
ただし、そんな個人の「心の中の戦争」の描写を重ねながら、対テロ戦争の現場という、現代の戦場の独特な姿を臨場感豊かに語っているのも事実だ。そういう意味ではルポルタージュ的要素も間違いなくあることは特筆したい。
そもそもジョルダーノが本作執筆のきっかけを得たのは、現地ルポを書くためのアフガニスタン訪問だった。パオロ・ジョルダーノは前作『素数たちの孤独』が世界的なベストセラーとなった後、第二作を待望する声のあまりの大きさに三年ばかり小説が一切書けなくなってしまった。そうした困難な時期に、伊『ヴァニティ・フェア』誌に現地ルポを書く目的で訪問したフォブ・アイスで若いイタリア兵たちと出会い、執筆のインスピレーションを得たという話だ。
基地周辺の風景の思いがけぬ美しさ、そこがアフガニスタンで最も危険な場所のひとつであること、兵士たちの多くが三十代のジョルダーノとほぼ同年輩か年下ですらあること、その数カ月前に近隣地区での戦闘でイタリア兵が複数名死亡していること(二〇一三年九月現在、アフガニスタン紛争で死亡したイタリア兵は既に五十名を超えている)、何カ月ものあいだ緊張状態を冷静に保ち続ける兵士たち、人間の弱さが極端に表れ、肉体が理性を凌駕する戦地という特殊環境……作者はさまざまな強い印象を受けたらしい。
ちなみに冒頭の献辞にある「農家(ルビ:カッシーナ)」というのは、ジョルダーノが生まれ、今も生活するトリノ市の郊外にある一軒の農家を指している。作者が二十代の頃、友人たちとともに日々を過ごした思い出深い場所だという。実はこの「農家(ルビ:カッシーナ)」時代の友人たちが本作に登場する若き兵士のモデルとなっている。
そうして生まれた登場人物たちはとても魅力的だ。特にそれぞれの抱える、自分ではどうにもならない弱さが見事に描かれている点が、前作に共通するジョルダーノの才能であり、彼の文学の特徴なのだろう。
たとえばエジット中尉。フォブ・アイスに数ヶ月前から駐屯を続けるこの軍医は、ようやく任期満了が迫ったというのに帰国をためらっている。イタリアで待つ姉との対決をなぜか恐れているらしい。さらに彼は父の死以後、自分でも正体のつかめぬ精神の不安を抱え、基地の仲間には内緒で抗うつ剤を飲んでいる。
そしてレネー准尉。フォブ・アイスに新たに派兵されてきたばかりのチャーリー中隊第三小隊二七名を率いる彼は、一見したところ模範的で生真面目な隊長ではあるが、イタリアでは小遣い稼ぎに男娼をするという裏の顔も持っている。派兵直前に客の女のひとりから妊娠を告げられ、果たして中絶させたものか深く悩みながら、アフガニスタンでの日々を過ごす。
イエトリ上級伍長はレネーの部下で、小隊最年少の二十歳。イエトリの悩みはまだ女性経験がないことだ。アフガニスタンには米軍の開放的な女性兵士が山といるといううわさ話に夢を膨らませつつ、フォブ・アイスにやってきた。
そのイエトリを「童貞君」と呼んでからかうチェデルナ先任上級伍長。彼は中隊一の優秀な兵士を自負する若者で、夢は特殊部隊入隊、敵を殺してみたくてうずうずしている。だがそんなマッチョなチェデルナもイタリアに残してきた恋人と問題を抱えている……といった具合である。
そのほかにもアフガニスタンに来てまでインターネットのチャットを介したバーチャルセックスを楽しむ兵士や、ひたすらいじめ抜かれる犬好きの兵士、軍用車の運転手を務める紅一点の女性兵士など、第三小隊の個性的な若者たちがアフガニスタン南部の砂漠のど真ん中にある前哨基地という非日常的な世界で生活を送る姿と、日常の続くイタリアに残してきた家族や恋人とのすれ違いが豊かな筆で描かれている。
本作の主なテーマは、作中でエジット中尉が自問する「家族とはなんだ?」「戦争はなぜ起きる?」「ひとはどうやって兵士になる?」という三つの疑問に端的に示されているようだ。決して明るいテーマをあつかったとはいえないそんな作品を訳していくなかで、連隊長であるバッレージオ大佐のユーモラスな存在感に訳者はかなり救われた。悩み多き登場人物たちのなかで彼だけは、道化めいた表情をしばしば見せてくれたからだ。若者たちとは異なり、彼がもはや「大人」であることの証拠なのかもしれない。一見脇役のようにも見えるバッレージオに作者は何かとても大切なことを言わせようとしているのではないだろうか。。
なお原作中で映画『フルメタル・ジャケット』のイタリア語版ダイアログが引用されている箇所は、原田眞人氏による日本語版字幕を参考に重訳した。氏にはこの場を借りて感謝したい。
最後に私事になるが、数少ないわたしの訳書のなかでこの『兵士たちの肉体』は三作目の〝アフガニスタンもの〟となる。だから実際には行ったことがないのに、かの国をわたしはもう何度も旅してきたような気もするし、強い縁を感じている。一刻も早くアフガニスタンに平和が訪れることを願ってやまない。
二〇一三年九月
モントットーネ村にて
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